要約アウトプット【 全社戦略がわかる  日本経済新聞出版社】

全社戦略がわかる

著者:日本経済新聞出版社
出版日2019年5月24日
ジャンル:経営戦略

 

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全社戦略がわかる (日経文庫)

 

全社戦略とは
個別事業戦略と
大きく異る概念だ

個別事業戦略とは
単一事業に関する
戦略のことだ
だが世の中を見渡すと
単一事業だけを営んでいる
企業は実は少ない
複数事業を持つ会社において
経営者あるいは本社が
全社的視点で考える戦略
それが全社戦略だ


個別事業戦略と
全社戦略とでは
考えなければならない
内容が大きく異なる
つまり全社戦略を
立案して実行する経営者や
本社スタッフと
個別事業戦略を
立案して実行する
事業部長やそのスタッフとでは
考えるべき内容や
行うべきことが違うのだ

本社がやるべき
全社戦略は大きく分けて
以下の要素からなる

・事業ポートフォリオ・マネジメント
・事業間のシナジーマネジメント
・全社事業ドメインの設定とマネジメント
・全社ビジョンの作成と徹底
・全社組織の設計と運営


経営学では複数の事業群のことを
事業ポートフォリオと呼ぶ
この事業ポートフォリオ
以下にマネジメントするかが
全社戦略において
熟考するべき大切な要素である

具体的に考えるべきは
やめる、まとめる、
分ける、始める
の4つである

ある事業を
やめるかどうかを
決断するのは本社だ
この意思決定こそ
全社戦略でもっとも
重要な事項のひとつだ


どの事業に資源を
重点配分するのか
どの事業から撤退するかなど
まったくタイプの
異なる事業があった場合
同じものさしで
判断することは困難だ

こうした問題に対応する
意思決定のコンセプトがある
それがPPMだ

PPMは2×2の
マトリクスで描かれる
縦軸は市場成長率
横軸は相対的マーケットシェアだ
この2軸で4象限をつくって
事業を当てはめて象限ごとに
資源配分を変えるというのが
PPMの基本的な考え方だ

各象限は次の通り

問題児(成長率高、シェア低)
とるべきアクションは
競合他社を上回る大型積極的投資か
素早く撤退するか

スター(成長率高、シェア高)
とるべきアクションは
積極的に大型投資を津末K
市場成長にあわせて成長する

金のなる木(成長率低、シェア高)
とるべきアクションは
市場と競合の状況を見ながら
過剰投資を防いで
徹底的にオペレーションを
効率化してコストを低減させる

負け犬(成長率低、シェア低)
とるべきアクションは
撤退


事業ポートフォリオマネジメント
においては事業間での
資源の再配分決定も
欠かせない要素だ
キャッシュが余る
金のなる木の事業から
キャッシュを吸い上げ
キャッシュを必要としている
問題児やスターの事業へ
キャッシュを再販分するため
会社全体としてマネジメントしていく

資源配分を事業部に任せると
個別最適に陥り
必ずしも全体最適にならない
自分たちの事業で生み出した
キャッシュを他事業に
回そうとしないからだ

事業のひとつ上の
全社レベルで
ヒトモノカネを
大胆に投入していく必要がある
このときPPMは
有効なツールになりうる
ただPPMも限界がある
機械的なPPM分析では
往々にして社員への心理的
影響が軽視されがちだし
各事業感のシナジー
あまり考慮されない


経営学者のバーニーによると
シナジーは活動の共有と
コアコンピタンスの共有の
2つに分けられるという

活動の共有の目的は
異なる事業が特定の事業活動を
ともに行うことで個別に行うよりも
品質や生産効率を
向上させることにある
活動の共有は
比較的効果がわかりやすい
一方で他事業と活動を
共有すると
平均化の罠や
複雑性の増大といった
デメリットが
生じるおそれがある

コアコンピタンスの共有とは
各事業のコアコンピタンス
事業間で共有したり
コアコンピタンス
異なる事業に
移転させたりすることで
プラスにさせることを意味する

どの事業においても
自社の真の
コアコンピタンスはなにか
そのコアコンピタンス
活かせる他の事業はなにかと
考えていくことが
複数事業化の正攻法といえる


企業が異なる複数の事業を
営んでいる場合
複数事業間で共通する
全社ビジョンは必要か?

各事業が個別最適で
取り組んだ結果
進む報告がバラバラになって
全社のパフォーマンスを
引き下げる要因になるという
考え方もあるし
事業によって最適なビジョンは
異なるため、本社が
無理に統一ビジョンを
押し付けるとかえって
個々の事業の
パフォーマンスが下がる
という考え方もあるだろう

これには1つの解が
あるわけではなく
事業環境やコーポレート
戦略によって
十社十色の解がありえる


全社ビジョンが重要になるのは
どのような事業をおこなうのか
すなわち事業ドメイン
考えるときだ
コアコンピタンスにもとづかない
複数事業化の成功確率は低い

だがコアコンピタンス
客観的に分析すれば
自然と浮かびあがるものではない
何をコアコンピタンスとして
育てたいのかという
経営者としてのビジョンが問われる

コアコンピタンスが発揮されて
シナジーが効き
かつ共通のビジョンのよって
個々の事業戦略を語れるのが
ベストだ


企業によって組織の作り方は様々だ
営業や研究開発、生産工場、
ITシステムなど
特定機能を取り出して
事業部から独立した組織を
作る場合もあるし
逆に事業部の中に
そのような機能が
おかれている場合もある

自社内の事業や機能を
どのよううに切り分けて
組織を作るのかは
本社が考えるべき
全社戦略のひとつだ

本社は事業部と相談しつつ
あくまで全社最適の観点から
事業と機能の
切り分けを設計して
いかなければならない

事業部が必要な機能を
すべて抱えて個別最適を
めざしていくと
全体からみたときに
同じ機能が重複し
事業間のシナジー
効かないケースが出てくる
だからこそ本社が介入し
全社最適の観点で
全社の組織をつくる
必要があるのである

 

 

 

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